
ただデザインするだけでは本当の意味での「良いデザイン」ではないと悟った日
私のデザイナーデビューはバブルがはじけたばかりの東京銀座でスタートしました。
当時「デザイナー」と呼ばれる職業は子供たちの「将来なりたい職業」人気投票で常に上位に位置づけられる花形の職業でした。もともと小さな頃から絵を描くのが大好きだった私も迷わず美術の道へ進みました。
東京でデザイナーとなった時から常に「クールでカッコイイ、美しいデザイン」を追求し続けてきました。
格好良くて綺麗ならクライアントが面白いようにOKを出してくれた時代でもありました。
「デザイン=カッコ良くてクール」という図式はその後の私のデザイン人生でも大きな意味を占めていきました。
ある時、広告代理店の営業担当ともめるちょっとした事件が起こりました。
それはある有料介護老人ホームのパンフレット制作をしている時でした。
それまでカッコよくて美しいデザインばかりを追求してきた私は営業担当の要求を適当に受け流し、自分のデザインを貫きました。格好良くて美しければ皆が認めてくれるだろうと思っていたからです。
私の提示したデザインに営業担当は一旦は折れましたがその夜、電話でこう言いました。
「確かにデザインは素晴らしくて良いと思います。しかし本当に老人介護に関わるご本人やご家族、施設の方々のことを思ってデザインしていただけたのでしょうか?
視力の弱くなった方々のために文字を大きく描いてくださいましたか?
ページレイアウトや見出しは読みやすく、やさしく丁寧に配置していただけましたか?
これは介護が必要になってしまったご本人と、ご両親の今後を案じているご家族の不安に配慮したパンフレットですか?
ご本人やご家族に勇気を与えてくれるパンフレットですか?」
私は言葉を失いました。
自分のやりたいデザインを一方的に押し付けて自己満足していたことを恥じました。
相手の気持ちに配慮し、相手の思いに寄り添う気持ちを忘れていたのです。
私自身の狭い世界で私のデザインはひとり空回りしていたのです。
デザインとは何なのか。お客様にとって良いデザインとは一体何なのか。
私の中で何かが目覚めた気がしました。
デザインで何か人の役に立てないだろうか。 デザインで人を笑顔にすることはできないだろうか。
そんなことを考えながらデザインに向き合う日々が始まりました。

お客様に寄り添い、より良い方法を一緒に考えるデザイン
ではデザインの正解とは一体何なのでしょうか?美しくてわかりやすくてカッコイイ?確かにそういう考えもあるでしょう。でも私たちの考えは少し違います。
私たちは「お客様に喜びを持って受け入れられたデザイン」が正解なのだと考えています。
しかしこの正解と思っていたデザインも時間と共にその価値観が変わり、新たな価値観で対応しなくてはならなくなるでしょう。
そう考えるとデザインに終わりはないのかもしれません。
そしてもうひとつ。
よくある話なのですが、われわれ制作者や広告代理店の担当者、そしてお客様の一部担当者の一方的な自己満足でデザインが完結してしまうことがあります。
その全てが悪いということはもちろんありませんが私たちはそういった一部の担当者サイドのみの自己満足で終わらせないように取り扱っている商品やサービスを理解し、そして商品やサービスの本質を的確に表現したいと考えています。
お客様に寄り添い、より良い方法を一緒に考えたいと思っています。

良い仕事はみんなを幸せにします。そのためにお金は必要です。
広告を専門とするグラフィックデザイナーはもちろん、カメラマンやコピーライター、編集デザイナー、WEBデザイナーにプログラマー、イラストレーターにプロダクトデザイナーそして印刷の専門家などなど、その分野を専門にしてきたプロフェッショナルが関わります。
確かに現代はパソコンによってデザインの工程のほとんどをひとりで行うことができます。しかし、ひとりで行うデザインには限界があります。様々な分野の専門家が関わればその可能性は一気に広がります。
「良いデザイン」、ひいては「いいこと」をカタチにするためにやはりお金は必要になってきます。
お客様もわれわれつくり手も「良い仕事」を通じてお互いにみんなが幸せになって欲しい。私たちはそう考えています。
「お金は少ししか出せないけど頑張ってくれますか?」
私たちはそういう仕事はしたくありません。なぜならそのどちらも不幸を感じるからです。そして何よりモチベーションの低い仕事ほど辛いものはないと知っているからです。関わる人たちが喜びと誇りを持って取り組むには「お金」は必要なのです。
もちろんお客様が業界を知らないのをいいことにべらぼうに高い金額を請求するつもりはありません。金額についてのご相談にはいつでも応じます。
ただ私の経験上、一様にに安さを要求されるお客様がいることも事実です。私たちは「いいこと」を遂行するために真剣でありたいと思っています。安さばかりを売りにする価格競争には一切参戦いたしません。

私たちはこれからも「いいこと」や「おもしろいこと」を提案していきます。
みんなが応援してくれる会社にはさて、どうしたらなれるのでしょうか?
まずは私たちがみんなを誠意を持って応援すればいいのではないでしょうか。
結果、お客様やみんなが喜んでくれた。すべてはそこから始まるのではないかと思います。
時にバカなことを真剣にやる。そんなユーモアあふれる仕事もワクワクします。
デザインの力を使って「いいこと」をしたい。「おもしろいことを提案して笑顔になってもらいたい」。
この気持ちを大切にこれからも様々なことにチャレンジしていこうと思っています。
About Us
社 名 | ピースデザイン |
住 所 | 〒420-0858 静岡市葵区伝馬町8-10 藤江ビル地下1階 |
TEL | 090-2265-0370 (遠藤) |
代表者 | 遠藤 次朗 (えんどう じろう) |
スタッフ | 2名 |
業 務 | 広告企画制作 WEBデザイン パッケージデザイン イラスト描画 ブランディング |

遠藤 次朗 endo jiro
1968年 静岡生まれ A型
東京銀座ニッカウヰスキーデザイン制作室MAASを経て
1995年よりデザイン専門学校・高等専修学校の教員となる。
同時にデザインのキャリアをスタート。
2008年独立しピースデザイン設立。
デザイン制作をするだけのデザイナーでなく「売上をアップするためには何をすべきか」を研究し
「お客様のための広告宣伝」を心掛け活動している。
専門はグラフィックデザイン。
2005年から極めて稀な病により自身の妻の長期に渡る入院治療の付き添い(2018年現在も通院中)、
長女出産時の出生前診断(障害の有無)の宣告(疑い)時の不安と絶望の経験を機に
病院環境における患者心理、障がい者、障害児、高齢者問題等それまで目を向けることの無かった問題について強く意識し始める。
2014年ノアギャラリー企画運営開始と同時に「障がい者アート」を積極的に取り入れ
アート・デザイン・マーケティング的な視点から協力・支援を開始。
アートを通して障がいのある方々やそれを支援する人たちとの繋がりをつくりはじめる。
2017年NPO法人アートコネクトしずおか設立。理事長を務め、障害も健常も越えたアートと社会を繋げる活動を展開中。
静岡市伝馬町8-10 B1「ノアギャラリー」運営・企画
静岡デザイン専門学校 / ノアデザインカレッジ / ルネサンスアカデミー(浜松) 非常勤講師
趣味/磯釣り・フライフィッシング・オートバイ・キャンプ/アウトドア
フライショップ「リバートーク」共同運営